キミへの想いは、この声で。
「行ってらっしゃい」
いつもより声が弾んでいるように思えるお母さんの声。
気のせいかな?と思いながら、私は颯太くんの家へと向かった。
颯太くんたちの家は、学校からわりと近い場所にあって、一回しか行っていない私でも、道を覚えられるほどだった。
三軒並んだ家が少しずつ見えてくる。
表札があるからわかるだろうけど、真ん中と左、どっちが颯太くんの家なのかな?
そんなことを考えながら、徳原くんの家の前を通り過ぎる。
真ん中の家の前に差しかかったところで立ち止まり、表札に近づく。
〝緑川〟……ってことは、優乃ちゃんの家か。
私は再び歩きだすと、一番奥にある颯太くんの家へと向かった。