キミへの想いは、この声で。

「……茜?」


それと同時に耳に届くのは、大好きな人の声。


「颯太くん!」


私は颯太くんの声に驚いて顔をあげると、大きな声で彼の名前を口にした。


「……っ」


すると彼は、私から顔を背けて、腕で自分の顔を覆った。


「どうしたの?颯太くん」


「いや、茜の声初めて聞いたから……その……」


照れくさそうに、ポツポツと話す彼。


「いや、やっぱりなんもない!

みんな来てるから上がって」


「あ、うん」


颯太くんは片手で扉を押さえると、私を家の中に入れた。


「お、お邪魔します……」


「どうぞー」


姿は見えないけど、リビングから颯太くんのお母さんらしき人の声が聞こえた。

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