キミへの想いは、この声で。

あっ!拾わないと!


私は慌てて先生の机に行き、床に散らばったプリントを拾い上げる。


私がその作業をしているあいだ、川島くんは開いているすべての窓を閉めてくれた。


プリントを拾い終えた私は彼のもとに行くと、握りこぶしを作って胸の前に持ってくる。


すぐに彼もその意味に気がつき、同じように握りこぶしを作ってぶつけあった。


〝ありがとう〟〝どういたしまして〟


そんなやりとりが、このグータッチを通して行われた。


川島くんがニカッと笑ったのを確認すると、私は口パクでも〝ありがとう〟を伝えた。


お礼を済ませた私は自分の席に戻るべく、方向転換しようとした。


だけどそのとき、足元に落ちていた一枚の写真に気がつき、動かそうとした足を止める。

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