キミへの想いは、この声で。

その日の放課後──……。


「茜!今日帰ってから時間ある?」


帰りの挨拶を終えてすぐに、優乃ちゃんが私の席へとやってきた。


「え、うん。あるけど、どうしたの?」


「来週のために、一緒にチョコ作らない?」


真剣な瞳を私に向けながら、チラッと徳原くんの席に視線を移す優乃ちゃん。


……優乃ちゃん、きっと徳原くんにチョコ渡すんだ。


「うん、いいよ。作ろう」


私が力強く頷くと、優乃ちゃんは私の手をとり、自分の手のあいだに私の手を入れて、包みこむように握った。


「ありがとう。そうと決まれば、早く帰ろう!」


包みこんだ手を解放すると、今度は私の手首を掴んで言った。

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