キミへの想いは、この声で。

強制的に立ち上がることになった私は、机の上に置かれているランドセルに腕を通す。


私が帰る準備をすると、優乃ちゃんもすぐに自分の席に戻り、帰り支度を整えた。


「それじゃあ、行こっか」


「うん」


おたがいにマフラーと手袋を片手に、教室をあとにする。


「そういえば、朝言いたかったことなんだけど……」


渡り廊下を歩きながら、優乃ちゃんが少し小声で話し始める。


「茜は颯太にも、友チョコを渡すつもりなの?」


「え、うん。そうだけど……、もしかしてダメだった!?」


思わず動かしていた足を止めて問いかける私。


すると、優乃ちゃんも同じように足を止めた。


クルッと私のほうに、方向転換をして。

< 298 / 337 >

この作品をシェア

pagetop