キミへの想いは、この声で。

バレンタイン前日──。


「あ、言いそびれてたんだけど、明日はバレンタインだからといってお菓子は持ってきちゃダメよ」


「「えーー!!」」


……告白以前の問題が発生しました。





「……優乃ちゃん、大丈夫?」


陽気な音楽が流れ続けるお昼休み。


机に項垂れる私を心配そうな瞳で見つめてくる茜。


「大丈夫……」


なんて言うけど、実際のところあまり大丈夫ではない。


昨年までは、先生が甘かったからか、バレンタインにチョコを許されていた私のクラス。


だから、颯太と直樹にも毎年チョコを渡すことができた。(颯太の場合は、幼なじみとしてお世話になってるから渡してただけなんだけど……)


でも、今年は……。


「……しょうがない。こうなったら、直接直樹の家に渡しに行くか」


もし直樹が家にいなくて、おばちゃんだけだったとしても、幼なじみってものがあるから、怪しまれることはないし。

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