キミへの想いは、この声で。
バレンタイン前日──。
「あ、言いそびれてたんだけど、明日はバレンタインだからといってお菓子は持ってきちゃダメよ」
「「えーー!!」」
……告白以前の問題が発生しました。
*
「……優乃ちゃん、大丈夫?」
陽気な音楽が流れ続けるお昼休み。
机に項垂れる私を心配そうな瞳で見つめてくる茜。
「大丈夫……」
なんて言うけど、実際のところあまり大丈夫ではない。
昨年までは、先生が甘かったからか、バレンタインにチョコを許されていた私のクラス。
だから、颯太と直樹にも毎年チョコを渡すことができた。(颯太の場合は、幼なじみとしてお世話になってるから渡してただけなんだけど……)
でも、今年は……。
「……しょうがない。こうなったら、直接直樹の家に渡しに行くか」
もし直樹が家にいなくて、おばちゃんだけだったとしても、幼なじみってものがあるから、怪しまれることはないし。