キミへの想いは、この声で。

あの日以降、ふたりでその話はしなくなったから、茜がどういう意味で贈るのか、私は知らないままだ。


……聞きたい……けど、聞いちゃダメな気がする……。


そんなことを考えていたとき、頬に冷たいものがポツッと当たった。


反射的にそこに手を当てる私。


イヤな予感がして、空を見上げると、いつのまにか空は灰色の雲で覆われていた。


空から茜に視線を移すと、茜はそのことに気がついていないのか、チョコが入っているであろう鞄を何度も何度も覗き見ていた。


……ふたりが来るまで、あと二十分。


遅刻されれば、それ以上。


この天気が悪化して、大雨になってしまえば、遊びは中止。


それどころか、チョコを渡すという計画も消える。

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