キミへの想いは、この声で。

「……雨、降ってきちゃったね」


「うん……」


こうなれば、ふたりが来たその瞬間、直樹をどこかに連れてチョコ渡すしかないな。


本当は四人で遊んで、しばらくしてから渡したかったけど、このままじゃ、いつ大雨に発展するかわからないし……。


「あ、颯太くん!」


茜が急に声をあげ、入り口付近を見つめる。


振り返って茜と同じ場所を見てみれば、そこには颯太がひとり歩いてやってきていた。


「颯太……、直樹は?」


絶対ふたりで来ると思っていたのに、『恋』というものはやっぱりそう上手くはいかないらしい。


「あー、ちょっと遅れるって」


腕時計で時間を確認すれば、長い針は二十分を指している。

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