キミへの想いは、この声で。

遅れるって、どれくらいなんだろう。


十分?二十分?


あぁー……、早く来て!!


「それより、今日どうする?

なんか雲行きが怪しいけど……」


空を見上げながら、顔をしかめる颯太。


小雨は今もなお続いていて、少しずつ勢いを増していた。


ここは……、私がいなくなってるあいだに、茜にチョコを渡せるようにしよう。


直樹は決まって入り口出て右方向から来るから、そこで直樹が来るのを見張っていれば、茜と颯太のことは邪魔されないはず……。


「あー、私ちょっと忘れ物したから取りに行ってくる」


「え、私も行くよ。優乃ちゃん」


私のウソにすかさずそういってくれるのは、茜。


私は茜の耳元に唇を近づけると、颯太には聞こえないような声でボソッと呟いた。

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