キミへの想いは、この声で。

「もうみんな、集まってんだろ?」


角を曲がって、公園に向かおうとする直樹。


すかさず私は直樹の服を掴んだ。


「おい、なにすんだよ。優乃」


「……私、直樹に話したいことあるから、待って!」


緊張して声が震える私。


いつも反抗的で男っぽい私からチョコなんかもらっても、直樹にとっては迷惑でしかないのかもしれない。


けど……。


「これ……」


鞄からラッピングされた箱を取り出すと、直樹に向けて渡した。


突然のことに、直樹は目を見開いて驚いている。


それもそのはず。


今年はいつもと違うから。


いつもは茜と同じくカップチョコを贈っていた私が、今年はレベルを上げてブラウニーを焼いてきたから。


箱が透明だから、中のものがなにか見えるようになっているんだ。

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