キミへの想いは、この声で。

……まぁ、颯太の場合は、今年も例年どおりカップチョコを渡すつもりだけど。


「今年はいつもと違うんだな。……サンキュ」


直樹は口角を少しだけ上げると、ショルダーバッグを肩からはずし、チャックを開けて中に突っ込もうとする。


「今年は……、違うよ」


だけど、私の言葉で直樹の手が止まった。


「え?」


「…………いつもは、その……、義理……だけど、今年は……」


だんだんと緊張してきて、顔が火照ってくる。


手もじわりと汗が滲む。


……私は、普段冷たいことしか言えない。


好きっぽい態度なんて、微塵も出すことはなくて。


だから、きっと言ってしまえば、すごく驚かれて、引かれてしまうかもしれないけど……。

< 321 / 337 >

この作品をシェア

pagetop