キミへの想いは、この声で。
「こ、今年は義理じゃないから!!」
キミに、この想いを伝えたいんだ──。
ふたりのあいだに、沈黙が流れる。
直樹の顔は怖くて見れなくて、さっきから俯いてしまっている私。
返事を聞くのが怖いと思っている自分と返事を聞きたいと思っている自分が心の中でぶつかりあう。
先に沈黙を破ったのは、直樹だった。
「え……、優乃。それって……」
完全に戸惑っている声の直樹。
やっぱり……、失敗しちゃった……?
ギュッと固く目を瞑る。
失敗だと思った私の心は、不安の渦が渦巻いている。
すると、直樹の口から予想だにしない答えが返ってきた。
「今年は友チョコってことか?」
──ゴツン。
直樹のあまりの鈍感っぷりに、思わずコンクリートの壁に頭をぶつけてしまう私。