キミへの想いは、この声で。
story*21 キミへの想いは、この声で。
【side 茜】
優乃ちゃんがいなくなり、颯太くんとふたりきりになった星公園。
颯太くんとはさっきから会話がなく、おたがいに無言のまま、ベンチに腰かけていた。
どのタイミングでチョコを渡せばいいかわからなくて、話題を作ることさえも出来ずにいる。
ふいに颯太くんが顔を上げ、空を見上げると、呟くようにポツリとちいさな声で言った。
「あ、いつのまにか雨止んでる」
言われて私も空を見上げれば、先程は雲で覆われていて見えなかった太陽の光が、今は雲の隙間から、姿が現れつつあった。
「ホントだ……」
さっきは悪化すると思っていたのに、ただの通り雨だったのかな?