キミへの想いは、この声で。

ドキドキと速まる鼓動。


数秒の沈黙のあと、颯太くんが口を開いた。


「……俺も、茜と友達になれて嬉しかった。

俺みたいなのを信じてくれてありがとう」


いつものように、優しい笑みを見せる彼。


今日もまた、優しくて温かい言葉を私にくれるキミは、出会った頃となんら変わらない優しいキミ。


だから私は、キミのことを好きになったんだ──。


「颯太くん……!」


「なに?」


だから、そんなキミに聞いてほしいことがあるんだ。


キミが取り戻してくれたこの声で、キミにどうしても伝えたいこと。


「わ、私……、私は、颯太くんのことが……好き……大好きです!」


──キミへの想いは、この声で。


今、キミに私の『声』で想いを伝えるんだ──。

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