キミへの想いは、この声で。

「よっしゃー!一回戦は俺の勝ちだな!」


ヘヘッといたずらに笑う彼。


それにつられて、私も笑う。


……なんか、こういうの懐かしいな。


あの人ともよくこういう遊びしてたっけ。




『やったー!また、私の勝ちー!!』


『強すぎだって、茜っち』


『えー、違うよー。

それは、私が強いんじゃなくて……』




「……佐藤さん?」


川島くんの声に我に返った私は、ハッとして彼のほうを見る。


「どうしたの?泣いてるけど……」


え?泣いてる……?


言われて自分の頬にそっと触れる。


たしかに私の頬は濡れていた。


「……はい、俺のでよかったら使って」


彼は優しい声でそう言うと、私にハンカチを手渡した。

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