キミへの想いは、この声で。

そうすると、最初は警戒していた彼女も少しずつ笑顔を見せてくれるようになって、時々だけど手話を交えて話してくれることが増えていった。


このまま、友達になれればいいのにとついさっきまではそう思っていた。


けど……、彼女の泣いた姿を見て、やっぱりためらってしまう。


友達になるのは、無理なんじゃないかって。


……まだ、そうと決まったわけじゃないけど。


もしもまだ、あのことを引きずっているなら、俺はやっぱり──……。


「おい、颯太!」


「い……った、なにするんだよ、直樹!」


俺の頭をげんこつで殴ってきたのは、幼なじみでもある親友の徳原直樹 (とくはら なおき) 。


大人っぽい容姿をしてるコイツは、無口無表情を貫く冷酷男子。


だけど女子のあいだではカッコいい分類に入るらしく、なにかとモテるらしい。


……本人は迷惑がってるけど。

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