キミへの想いは、この声で。

「友達じゃないけど、話を聞くことくらいは俺にもできるからさ」


ニカッといつもの笑みを浮かべる彼。


その瞬間、私の中で張り詰めていた糸がプツンと切れる音がして。


気がついたら私の口は〝ひーくん〟と動いていた。


なにか察したのか、用意のいい彼は私に鉛筆とメモ帳を手渡してきた。


私も普段は持ち歩いてはいるけど、生憎今は持ち歩いてはいなかった。


「それに書けるなら書いて。辛かったこと」


甘えちゃダメなのに……。


こんな風に言われると、私はどうしても甘えたくなってしまう。


……でも、この瞬間やっぱり再確認するんだ。


川島くんはすごく優しい人なんだって。


〝私ね〟


メモ帳に震える手で文字を書きこむ。


私は自分の過去を彼に話す決意をした。


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