キミへの想いは、この声で。

そう……、その人のこそ、私の大切な友達……ひーくんこと岡田陽太 (おかだ ひなた) 。


ひーくんは、私が心を開かないと知っていながらも、たくさん話しかけてくれたんだ。


普段のひーくんはクールな性格をしていて無愛想だから、最初は怖い人だと思っていた。


でも、実際はそうじゃなくて……。


「佐藤さん、これ忘れてる」


「早く行かないと遅刻するよ?」


「……俺の使う?」


すごく優しい人なんだってわかったんだ。


それから私とひーくんは、どんどん仲良くなっていって、いつのまにか〝ひーくん〟〝茜っち〟なんて呼び合うような関係にまでなった。


ずっと親しい人ができなかった私にとって、ひーくんは本当に大切な友達だったんだ。


でも……、そんな関係も徐々に暗雲が立ち込めるようになる。

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