キミへの想いは、この声で。

「……」


「……俺は、茜っちのこと嫌いだから。それじゃあな」


彼はもう一度私に冷たい目を向けると、教室を出ていった。


──その日を境に、私は声が出せなくなった。


自分が思っていた以上にかなり傷ついたんだと思う。


その頃はもう三月で、五年生に上がってからはひーくんともクラスが離れ、不思議といじめもなくなっていった。


それでも私の傷は消えなかった。


誰にいじめられたときよりも、ひーくんに言われた言葉が一番傷ついて。


いじめはなくなったのに、私の心はボロボロになってしまって、お母さんにすべてを話してしまった。


大泣きする私にお母さんは先生に話そうと提案してくれたけど、私はそれを断った。


そのことをきっかけに、またいじめられるのはイヤだったから。


するとお母さんはそんな私に、転校の話を持ちかけてくれた。

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