キミへの想いは、この声で。
『転校?』
「そう。お父さんの移動が決まってね。
今年は茜が嫌がるかと思って、お父さんに単身赴任してもらおうと思ってたんだけど……、茜が今の学校で息苦しい生活を送っているなら、転校してみるのはどうかなって」
……転校。
転校すれば、この辛い気持ちも解放される……?
「今すぐに決断しろとは言わないから、ゆっくり考えてみて」
『……する』
「え?」
『私、転校する』
「茜……わかったわ。
お父さんにもそう伝えるわね」
────
──
〝それで私はここに転校してきた。
みんなにはなにも言わずに、もちろんひーくんともそのあと話すことは一度もなかった〟
私がすべてを話し終えると、ふたりのあいだに沈黙が流れる。
ずっと鉛筆を握って文字を書いていたから、私の手は疲れきってしまった。