キミへの想いは、この声で。
よくある家族写真。
俺はその写真に笑顔で写っている自分ではなく、その隣にいる無表情の男子に視線を向けた。
──俺の双子の兄。
小二のときに親が離婚して遠くに行ってしまったけど、仲は良いほうだったから今でもよく会っている。
俺はふぅ……、とため息をこぼすと、写真立てを元の位置に戻した。
「……約束、ちゃんと守るから」
そう呟いてから、俺は自分の部屋をあとにした。
*
「颯太ー、これ手伝ってちょうだい」
「え、母さん、また?」
母さんに頼まれ、洗濯物をたたむ手伝いをしていると、台所から母さんがひょこっと現れ、食器洗いをしろと促す。
「〝また〟ってなによ、〝また〟って。
アンタ、どうせ暇でしょ」
「……わかったよ」
俺が渋々頷いてみせると、母さんは上機嫌で風呂場へと向かった。