キミへの想いは、この声で。
だから俺も同じように笑って。
静まり返った廊下は、その一瞬で優しい空気に包まれた。
「これから、よろしくな、茜!」
俺がいつもの明るさでそう言うと、茜は少しだけ顔を赤く染め、ちいさく頷いた。
そして……、
『こちらこそ、よろしくね、颯太くん』
手話でそう言い、はにかむように微笑んだ。
俺の名前を呼ぶところは指文字と呼ばれるものだったから、口の動きを読んだんだけど。
……少しは俺にも心を開いてくれたのかな。
そうだったら嬉しくて仕方ないけど、きっとそれは半分にも満たないんだろうな。
でも──……。
「あ、教室上がろっか」
いつかは彼女の心を俺が開かせてみせるんだ。
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