キミへの想いは、この声で。
私の手話を読みとった彼は嬉しそうに微笑んで、教室へと上がった。
私もそれに続くように教室へと上がる。
当たり前のように一番後ろの席に行くと、先に席に着いていた颯太くんが驚いた声をあげた。
「あー!もうすぐ十月だ!」
彼の目線を追ってみると、どうやら黒板の今日の日付を見て、もうすぐ十月だということに驚いてしまったらしい。
そんなに驚くこと……なのかな?
『十月がどうかしたの?』
私が問いかけると、急に真剣な顔つきになる彼。
な、なんだろう……。
「もうすぐ十月ってことは、クロネコの発売日だろ!
俺、毎月買ってるんだけど、前回気になるところで終わってさー」
く、クロネコ?!
もっと、重大ななにかかと思った……。