チャラめ男子と鈍感女子
黒い毛で覆われたその体を撫でる。
手触りも気持ちいいし、毛並みも良い...
ブラッシングをされていないとこうはならないはずだ。
やっぱりエミリーの言ってた通り飼われてる猫なんだろうな。
首もとに赤い首輪がついているし...
「珍しいですね、この子が逃げないで触られてるなんて」
猫を撫でていた俺へと、後ろから突然声がかかった。
...なんでかな?
ただ声を聞いただけなのに、顔が綻んでいくのが分かる。
「久しぶり!エミリー♪」
その事を目の前の女の子に悟られないように、俺はいつもの笑顔で話しかけた。