チャラめ男子と鈍感女子


他愛もない話を、結構な時間二人で話した。


俺は陽菜乃にいつもみたいに笑ってほしくて、楽しめる話をしたつもりだった。


でも陽菜乃の表情は暗くなっていくばかりで...



「ひな、の...」



陽菜乃は涙を流していた。


その事実に胸が締め付けられる。



「どうしたんだ!? 何かあったのか?」



俺の言葉に陽菜乃は首を振るだけで。



「ごめ、ん...慎也。私と...別れて下さい...」



突然のことに、陽菜乃が何を言っているのか分からなかった。



「な、なんで?」


「...ごめんね」



俺の言葉に答えてくれる事はなく、隣にある自分の家へと入っていってしまった。


俺は引き止めもせず、その背中を見ているしかなかった。


< 177 / 247 >

この作品をシェア

pagetop