チャラめ男子と鈍感女子
他愛もない話を、結構な時間二人で話した。
俺は陽菜乃にいつもみたいに笑ってほしくて、楽しめる話をしたつもりだった。
でも陽菜乃の表情は暗くなっていくばかりで...
「ひな、の...」
陽菜乃は涙を流していた。
その事実に胸が締め付けられる。
「どうしたんだ!? 何かあったのか?」
俺の言葉に陽菜乃は首を振るだけで。
「ごめ、ん...慎也。私と...別れて下さい...」
突然のことに、陽菜乃が何を言っているのか分からなかった。
「な、なんで?」
「...ごめんね」
俺の言葉に答えてくれる事はなく、隣にある自分の家へと入っていってしまった。
俺は引き止めもせず、その背中を見ているしかなかった。