チャラめ男子と鈍感女子
「じゃあじゃあ、言ってみてよ! 慎也って♪」
ワクワクしながら呼んでくれるのを待つ。
でもリンゴのように顔を赤くしたエミリーは、中々口を開いてくれない。
「「……………」」
お互いしばらく無言でいると、フゥという小さな呼吸音が静寂を打ち破った。
「慎也…さん」
女の子から名前で呼ばれるなんて、俺にとって今まで当たり前の事だった。
だから何とも感じていなかったのに…
好きな子に呼んでもらえただけで、ここまでドキドキするのか?
鏡を見なくたって分かる。
絶対、俺の顔は真っ赤だって。
そんな顔をエミリーに見られたくなくて俯いた。
「片瀬さん?」
何の反応もしない俺を不思議に思ったんだろう。
エミリーが俺を呼ぶ。
苗字に戻ってるし! と内心思いつつも、今はそれを言葉にする事すら出来ない。