チャラめ男子と鈍感女子
「俺はいいけどさ? エミリーは可哀想だよ、寒さで震えてたし」
「それは本当か!?ゴメンね、槙さん!」
俺の言葉を聞いて、エミリーに平謝りの麻野っち。
そんな様子にエミリーはたじたじといった感じだ。
「気にしないで下さい! 片瀬さんのおかげで…あんまり寒くありませんでしたから……」
恥ずかしげに俯く様(さま)に、麻野っちは口をぱくぱくと開いた。
「…片瀬! お前、槙さんに何した? 」
「えー、上着貸しただけだよ~? 麻野っちこそ何考える訳? やらしー」
「やら…!?」
麻野っちとの会話を繰り広げていると、いつの間にか寮の前に。
「それじゃ、今日は本当にすまなかった…」
そう言うと、麻野っちはいそいそと先に寮へ戻ってしまった。