チャラめ男子と鈍感女子
「じゃあ、俺も寮に戻るよ。風邪ひかないように身体暖めてね?」
「ぁ、待って下さい!これ…貸してくれて、ありがとうございました」
お礼を言うエミリーの手には俺の上着が。
俺はそれを受け取ると、簡単に上から羽織った。
「ゴメン…こんな事しか出来なくて」
「そんな事ありません!凄く、助かりました」
エミリーが俺へ必死に話す姿に、自然と笑みがこぼれる。
少しは役に立てたのなら嬉しいけど…
「それは良かった…あのさ?」
「はい?」
「俺の呼び方。元に戻ってるよ?」
「!」
その言葉を聞くと、焦った顔になるエミリー。
俺はそんな彼女に微笑みを投げかけると、今度こそ寮へと足を進めたのだった。