チャラめ男子と鈍感女子


「寒かったですか? すみません…」


「大丈夫だよ」



俺の傍に来ると、エミリーは自分の方が息を切らしてしんどそうなのに、こっちの心配をしてくれた。



「でも…なんか辛そうな顔してます」



俺が辛そうと言った割には、どうしてかエミリーの顔付きも悲しそうな…



「そう? そんな事よりも、何でここに?」


「あっ、えっと…渡したい物があって」



そう言ってエミリーは、小さめの紙袋を俺に手渡した。


その中にあるのは―――



「ちょ、チョコ…!」


「き、昨日の家庭科で作ったんです。倉庫に閉じ込められた時のお礼も出来てなかったので、その、し、慎也さんに渡そうと思って…」



まさか、エミリーからチョコをもらえるなんて。


本命とかじゃなくても嬉しいんですけど…


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