チャラめ男子と鈍感女子
「それじゃ…私、戻りますね? 今日は本当にありがとうございました!」
律儀にまた頭を下げると、エミリーは寮の中へ入っていった。
けれど俺はそれどころではなく、エミリーの言葉がぐるぐると頭を駆け回っている。
さっきのは、彼女にとっては何気ない一言。
分かってるんだ…そんな事。
分かってはいるんだけど…
今の俺、絶対顔が赤い!
まだまだ寒さが残る季節。
それなのに顔は熱を感じて…
こんなに俺って純だったっけ?
自分では『大好き』とか『一緒にいたい』って、思ってもない事ぺらぺら言ってたくせに…
「恋愛って、難しすぎる」
誰もいない男子寮の入口で、俺の声が虚しく響いた。