チャラめ男子と鈍感女子
さらに彼女たちの怯えた表情が、頭の中の混乱を大きくさせる。
「...片瀬さん?」
ふいに聞こえた俺を呼ぶ声。
そんな呼び方をするのは、一人しかいない。
振り向いた先にいたのはエミリーで....
「今のって、どういう...」
「ゴメン!...これはエミリーの為にした事じゃないから」
エミリーの話す暇も与えず、途中で遮る。
だって勘違いしてほしくなかったから...
そう、エミリーの為にじゃない。
これは自己満足に過ぎない行為だ。
昔の自分を消し去りたくてした事だ。
「ちょっと...一人にさせて」
聞こえたのか分からない小さな声で呟くと、こんがらがる気持ちを整理させたくて、一人でグラウンドから離れた。