覚悟はいいですか
束の間、目を閉じて再び彼女を思い浮かべる
今度会えるのはいつになるだろうか、予定を思い返して・・・ため息が出た

だが諦めるという選択肢はない。紫織と共にいることこそ俺の生きる意味だから

紫織が恋愛に積極的でないのは何となく感じている
俺の周りは男女問わず結婚相手を漁りまくってるやつらばかりだが、彼女にそんなそぶりは全くない
彼女自身に問題はないから、おそらく彼女を縛り付ける何かしらの事情があるのだろう


何であろうとそこから紫織を自由にしてやりたい

前にも後ろにも進めないなら、俺が道を拓いてやる

君の望みをかなえたい、その夢ごと守ってやりたい

共に望んでくれるなら、この未来(さき)もずっと…



スマホを取り出し、さっきのやりとりを呼び出す

『今日はありがとう。せっかく送ってくれたのに泣いてばかりでごめんなさいm(__)m』

『気にしないで。泣いてるしおも可愛かった』

『またそういうこと言う~(汗)メイクぐちゃぐちゃでパンダだったもん』

『いっぱい泣いていいんだよ。ただし俺の前限定で』

『大人だからもう泣きません!礼の前では特に!!』

『そのままでいいよ。強がる紫織も好きだし』

『・・・もう寝ます。今日は何から何までありがとう。おやすみなさい』

『おやすみ。また夢で逢おうね』

我ながらよくもこんな甘ったるい言葉を吐けると笑ってしまう
でもこれが本心だから仕方がない
こんなことになるのも彼女限定なら許されるだろう


夢でもいい、手段は選ばないから、
その心を全て見せて、俺に預けてほしい

俺の全てでありのままの君を包み、守り続けると誓うから
俺の手はいつも君に差しのべていることに、早く気づいて

愛する君を生涯かけて守り続けることを、
どうか俺に許してほしい

俺が望むのは君だけだから・・・


俺は目を閉じ、束の間の安息に身をゆだねる

どうか紫織に今夜も安らかな眠りをと、心から願いながらーーー

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