覚悟はいいですか
第三章 覚悟はいいですか

1、レセプションパーティー

「…わが社は織部が始めた訪問の美顔マッサージ業が起源でした
ところが使用した外国製の化粧品では日本人の肌に合わないことが多く、なかなか思うように軌道に乗りませんでした。
そこで織部は化粧品メーカーを立ち上げ、独自に研究を重ねて、かの水明肌(すいめいき)を考案しました
織部はマッサージ業の合間に、知り合いの小間物屋の店先を間借りして自ら販売したところ、水明肌は空前の大ヒットとなったのです

そこからのAthenaの発展は皆様ご存じの通りです
今では日本だけでなく世界中に店舗がございます
さらに化粧品だけでなくエステやマッサージ、ヨガ道場と、ここ最近はオーガニックレストランを開店しました

Athenaがここまでこれたのも、支えてくださった皆様とAthenaを愛して下さるお客様のおかげです
私どもはこれからも『女性の美と健康のために』の信念のもと、あらゆる事業を展開してまいります

どうぞ今後も弊社をご贔屓のほど、よろしくお願い申し上げます!」

佐伯営業本部長が会長の代理として挨拶を終える
盛大な拍手の中、美しい所作でお辞儀をする織部会長の後ろで私も頭を下げながら、上目遣いに会長を見る

もう80を超えてるはずなのに背筋をピンと伸ばし、微笑みを浮かべるその横顔は美しい
若い頃は女優にスカウトされたと聞いている

美しさと知性と強さを兼ね備えた、私の憧れの女性の一人…

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