覚悟はいいですか
ふう~、さすがにちょっと疲れたかな……
パーティーも終盤に差し掛かり、今は会場のあちらこちらで歓談・商談をする人々を見る
これでとりあえずはパーティーの裏ミッション成功☆かな…
再び、ため息が漏れる
「紫織さん、少し休んでいらっしゃい」
会長が労いの言葉をかけてくれる
あとは終りの挨拶と片付けを残すのみだし、私はお言葉に甘えることにして、一礼してその場を離れた
会場を出て歩きながら、時計を見て考える
控え室代わりの客室に戻ったら、ヘアメイクを手直ししないと。ついでに紅茶でも飲んでエンディングに備えよう…そのくらいの時間ならありそうだ
そう決めて歩く速度を速めるーーー
この時、私は少し浮かれていたのかもしれない
パーティーがことのほかうまく進んで久々の高揚感に包まれ、ふわふわと油断して、つい一人で行動してしまった
私をずっと追っていた目に気づかずにいた
自分のような一社員にガードが付いている理由をすっかり忘れてしまったのだ
後ろから響く足音を耳が拾った時には
もう逃げることもできない近さまで恐怖は迫っていたーーー