覚悟はいいですか

二人の交際が会長に認められ、堂嶋について今後の方針が決まったところで綾乃さん夫妻は帰ったが、私達二人は遅い晩餐に招かれた。
もちろん固辞したが、織部会長が話したいことがあると言われ、結局お相伴にあずかることにした

食事の間、御前はまたまた会長を口説いていたり、私達の馴れ初めを突っ込まれたり……
まあ、とりあえずは和やかな雰囲気の延長で、その話は始まったように思う

「それにしてもまた海棠とは・・・」

織部会長が苦笑しながら言ったことがきっかけとなった

恐縮した顔で首筋をかいている礼を見て、どういうことだろうと疑問に思っていると

「俺のお袋も華の剣だったんだ」

「え~!」

思いもよらない事実に驚いたなんてもんじゃないです!
会長、カラカラと笑ってますけど……

「ご長男の智さんはあなたが華になる前にご婚約が決まってたから、油断したわ。まさか弟さんと恋仲だったなんて」

「私も母が剣とは知りませんでした。今朝、父に話を聞いて驚きました」

「ただの剣じゃなかったのよ。
義子(あきこ)さんは私の後継者として育てられた。本人も十分解っていたのに海棠家に嫁いだことで、うちの後継者はいなくなってしまったの。
義子さんの幸せと天秤にかけることではないから、気にしないよう言ったけれど、本人は未だに後ろめたく思っているのでしょう。
紫織さんが剣に戻って私も嬉しかったし、義子さんの呪縛も早く解いてあげたくて。今度の華の剣に後継を任せるつもりだと、話してしまって」

「それなのに、今度はその紫織と俺がこういうことになって、母は結婚に反対したんですね…」

そうだったんだ……

「紫織さん、大丈夫よ。義子さんも貴女がどうこうというのでなく、Athenaの後継者候補の剣を二度も横取りできないと思い込んでいたから反対しただけ。
でももう気にしないよう、彼女とは話がついてるから」

アレ?
何かさっきから、後継者が私、みたいな話ですけど……


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