覚悟はいいですか
Finale~永遠に君だけを
思い返しても急展開の一日だった
ジェットコースターなみの急流に、転覆しようが何しようが、ただ船縁に掴まってるだけで精一杯で……
確かにこの先の人生を決める大切な日になると覚悟をしてたけど、思っているよりはるかに激動の一日で、自分の人生が何周もひっくり返ったように思う
でも礼は本当にこれでいいのだろうか?
私を支えるというけど、男性なら普通は自分に付いてこいとか、支えてほしいとか思うんじゃないのかな……
「紫織、考え事?」
はっ、しまった!!
甘くないスパイシーな彼の匂いが心地よくて、つい自分の思考にはまってた
リラックスし過ぎだ、私のバカ……
「俺のこと、気にしてるのかな?」
「……うん」
そうは言っても彼に確かめなければ、先に進めない
求められている事柄を考えれば、礼がそばにいてくれないなら私には無理だ
そうでなくてももう離れるなんてできない……
「礼はほんとに私が社長になってもいいの?」
「うん、何で?」
きょとんと首を傾けてる仕種に胸がキュン……
って、違うでしょ、私!
「私の方が社長になって表に出るの、おこがましい気がして。
男の人で立場があって礼くらい仕事もできるなら、そばにいる女性に裏で支えてほしいと思うのが普通じゃない?同じ表社会で支える側になろうとしてくれるが不思議なの」
「ん~、確かに日本は男は外で働き、女が家を守るみたいな風潮が根強いな。でもね、欧米では共働きは当たり前だし、先進国ほど男性も育休とか普通に取るんだ」
「うん、それはそうだけど。礼はそれでいいの?」
「俺はその辺の拘りはないな。子どもの頃から両親とも共働きだったし、早くにヨーロッパ社会で仕事してたから女性社長とかめずらしくなかった。男性が家事や育児に普通に関わってるのも見てたし。
むしろ旦那が秘書で奥さん社長のサポートを嬉しそうにしてて、微笑ましいなんて思ったし。
日本にもいるだろ、そういう夫婦」
「少数派だけどね」
「だけど、俺は気にしないから、紫織にも気にしないで、やりたいことにトライしてほしい。
俺は影でも日向でも紫織を支えたいと思うよ。
家事も一人暮らし長いから、一通りできるし、苦じゃないから。
あ、でも紫織のご飯は美味しいからできる範囲で食べさせて。そんで俺にも教えてよ。
一緒に料理したら楽しそうじゃん」
そっか、礼が気にしないなら私も気にするのはよそう
「そんなことより、紫織が表に立つと心配ごとが絶えなくなるのが困るな」
ん?何のことだろう?