覚悟はいいですか
「ちょっと待ってて」
しばらく考えるようにしてから、礼は私をリビングに残し、寝室へ消えていった
どうしたんだろう?何か心配事とか言ってたけど
考える間もなくすぐに戻ってきた礼は、私の前にーーー腰掛けるのでなくラグの上にーーー片膝をついて、真っ直ぐに私を見る
美麗な人が真剣な顔をすると、ものすごい迫力なんですけど!
少しだけ仰け反ってソファの背もたれに背中を押し当ててしまったのは仕方がないと思う
そんな私に構わず、というかめずらしく構う余裕すらない顔で、礼は大きく息を吸い込み、私に言った
「紫織さん、貴女を心から愛しています。俺と結婚してください」
そして差し出した左手の上に乗る赤いビロード張りの箱の蓋を開ける
そこには大粒のダイアモンドが輝くプラチナのリングがキラキラと光を反射している
私は両手で口を押え、嬉しくて叫びそうになるのを抑えた
深呼吸を繰り返し、心臓を落ち着けようとするけど、なかなか収まらなくて
「……はい」
かなり間をおいてから、震える声でやっと応えた
聞こえたか心配になるほどか細い声しか出なかったけど
「…っはああ~、よかった」