覚悟はいいですか

旅立ちの朝


翌朝、飛行機のタラップを昇りながら明け始めた空を振り仰いだ

真冬の突き刺すような寒風に、
君がくれたマフラーが翻って頬をくすぐる


ごめんね、紫織
きっと君は泣くだろう

なんの痕跡も残さず
連絡手段すら断ったまま
君の前から消える俺を許してくれなんて言わない



ただ、できることなら

どうか俺を
忘れないで

大ッ嫌いでも、恨んでてもいいから

俺が付けた心の傷を
決して消さないでくれ

君を守れる男になったら
その時に全力で取り戻しに行くよ



君がかけた『おまじない』

俺は決して忘れない

二度と離れない、そのために

君を手に入れる、そのためだけに

俺は行くよ


ああどうか

忘れないで

君のそばに

帰るその時まで

再び

君に逢いに

戻る

その時までーーーー



~A suivre.
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