覚悟はいいですか
8年前の日々が
壊れたDVDプレーヤーのように頭の中で繰り返し再生される
目尻からはあいかわらず涙がこぼれ続けて、ぼんやりと天井をみつめることしかできない・・・
ふと気づくと、そこにひと筋の光がさしていた
その光をたどって窓を見れば、遠く山の端から太陽がのぞいた
日の出の神々しい美しさに惹かれるようにベッドを降り、窓を開ける
朝露に濡れる草や土の匂いを含んだみずみずしい風が頬を撫でて涙をぬぐい去る
太陽は徐々にその光を強めながら、冷えた肌をゆっくりとあたため、私を包んでくれる
大丈夫、過去は過去だーーーーー
封印していた思いが久しぶりに彼の名を聞いて、少し蓋を揺らしただけ
彼は本来、住む世界の違う人
そして自らその世界で生きていくことを選んだ人なのだ
彼が私を望むことはない、私ももう好きに戻らない
これから先、仮に礼と時間を共有することがあっても、そこから育つのは友愛の情
もう勘違いすることはない
この思いは過去のもの
再びしっかり蓋をして、深く深く鎮めよう
ただ今日だけは……心を鎮めるためにも会うことは避けたい
そのための準備の時間が足らないから
だから今日だけは何としても逃げなければ