覚悟はいいですか
2階は中世の貴族の部屋みたいだった。中央にラグを敷いて白地に金で縁取られたソファ椅子が置かれ、天井からは控えめなシャンデリアが下がり、いたるところに花が生けてある
階段の左側の壁にカーテンがかかっていて、中は6畳程のフィッティングルームがあり、その横に全身が映る鏡と椅子が置いてある

「海棠様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」

ほくろ美人が綺麗なお辞儀をして、にっこり笑う

「ご要望のものはお揃えしております。こちらへどうぞ」

そう言って中央のソファへ案内する
私達が座ると、それまで気づかなかった奥の扉へ入り、キラキラしたドレスが何着が掛けられたハンガーを引いて出てきた

「ありがとう」

固まってる私に構わず、礼はドレスの物色にかかる
うち一つを手に取ると

「紫織、これに着替えて」

「着替えてってお店のだよ」

「うん、だから着替えて」

・・・あぁ~やっぱり。着替えってそういうことね

「時間がないから早く。あと関根さんに全部お願いしてあるから。30分でできますか?」

前半は私に、後半はほくろ美人ー関根さんに向けて話す

「お任せください。さ、お手伝いしますわ」

礼に向けて微笑むと、関根さんはガシッと私の腕を掴み、有無を言わせず引き摺って行った…

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