天狐の守護



「っと言う訳だな」

がはは、と大きく笑うこの男は空稲荷神社の神主、伊達だ。


「は、恥ずかしい…。私初対面で魏扇に耳触らせてとかめちゃくちゃ失礼な子じゃん…」



あれから11年が経った。


5歳の潤陽ももう16歳となり、高校1年生の潤陽は伊達おじいちゃんと両親と一緒に昔話に花を咲かせていた。


お母さんの綾も顔を真っ赤にしている。


今だから言えるが、天狐という神にもなりうる大妖怪相手に自分の子を守れというのは相当度胸のあるものなのだ。


この話は3回目だ。とお父さんは呆れ呆れだがお母さんと私の反応が面白くて仕方ないらしい伊達おじいちゃんは懲りない。


「初対面と言ったが、今とそう変わらん。潤陽」


神社の社務所で休憩していた3人の前に、鈴の音共に、風が舞い込んで来た。


その風に乗り、青い狐火がふわりと現れ、激しく光る。


その光が収まりゆっくり目を開けると、そこには魏扇が居た。
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