天狐の守護


「メリット?封印を解いてくれたではないか。その恩返しだ」



扇子を口元に当て、魏扇はそう言った。



「ですけど、あれは私たちの先祖が無礼をしたからであって…」



「過去の事を言っていても仕方ない。それで何になる。負の感情は持ち続けるべきじゃない。それに、潤陽と居るのは空の自分の心の埋めどころになっている。」



あまり笑うことのない魏扇が、フッと優しく微笑んだ。


綾は感極まり、義興にハンカチをもらい涙を拭いた。


「ありがとうございます。うぅ、ごれがらも、潤陽をよろじぐおねがいじまず」

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