天狐の守護
泣きすぎてまともに喋れていない綾に、魏扇が眉を下げた。
恐怖から泣かれるのは慣れているが、感謝されての泣かれは慣れていない。戸惑う魏扇だった。
「あれ、なんでお母さん泣いてるの?何事?」
首にタオルをかけ、濡れた髪にワンピースと化したTシャツとタオル生地の短パンを履き現れた潤陽に魏扇が近付いた。
「濡れた髪でいるなと何度も言っているだろうが。風邪をひく」
首にかけたタオルでわしゃわしゃと髪を拭いた。
ぐわんぐわんと首が揺れるため、倒れないように魏扇の腕を掴む。
一通り拭き終わると、ドライヤーをする為に洗面台へ連れていかれた。
「過保護にも程があるな。」
残された伊達おじいちゃんがそう言い、綾と義興がうんうんと深く頷いた。