天狐の守護
ですが、と言いかけた伊達だったが、魏扇と潤陽の姿を見て止めた。
「ねえ、貴方達には何が視えてるの?」
そう問いかけたのは潤陽の母親、綾【あや】だ。
おにいさんだか魏扇だか潤陽の母親には姿が見えていない。
それもそのはず。魏扇は天狐で人ならざるものだからだ。
魏扇は普通の人には見えない。
だが、稀に人ならざるものとの波長が合った時、その姿が見えることがあるのだ。
伊達と潤陽もその1人だ。魏扇という天狐との波長が合ったからこそ、姿が見えている。
「そうか、綾には見えていなくても仕方がない。潤陽とワシに見えているのはこの神社に祀られている魏扇という天狐だ」