天狐の守護


「この封印を解け。別に、今更暴れようとも思わんし、封印を解いても天稲荷山から出られんのは変わらん。だがこの社から一歩も出られんのも、妖術が一つも使えんのももう懲りた。その条件を呑むなら護ってやってもいい」


そしてその言葉は綾には聞こえていない為、伊達が伝達して伝えた。



「封印…」



「ワシには出来る。だが…」



眉間に皺を寄せ、頭を抱える伊達。


それもそのはずだ。先祖が苦労し今まで受け継いできた護るべき物を封印から解くのだ。



「…分かった。魏扇様その条件、了承致しました。」


目を閉じ、眉間に皺を寄せ深く考えた後、伊達はその取り引きを了承した。


魏扇に深く一例すると、懐から一冊の書物を取り出した。


それを胸元へ持って行き、パラパラと捲る。


小さな声で何かを言っているが、聞こえない。

お母さんが言うには封印を解く呪文らしい。
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