王子様に恋する私はシンデレラ?!
エピソード1 友情
この学園では自立を促すために高等部からは全寮制になっている。
寮は学園の正門を出て右が男子寮、左が女子寮で、どちらも学園から見える距離にある。
歩いても15分あれば着きそうな距離だが、登下校時刻になると30分おきに送迎バスが出るらしい。
部屋に荷物を運び込む為、入学式前日が入寮日になっている。
「忘れ物ない?ちゃんとご飯食べるのよ」
私のことをいつも心配してくれる母。
「いつでも帰ってきていいからな」
今にも泣きそうなお父さん。
「じゃあな」
ドライな弟。
「行って来るね」
最寄りの駅まで車で送ってくれた家族に別れを告げ、学園からの送迎バスに乗り込む。
寮のエントランスで鍵を受け取り、キャリーバッグを持って部屋へ向かう。
もらった鍵には302と書かれていた。
「えっと、302号室は、、、ここだ」
部屋の中に入ると相部屋の相手が先に着いていた。
新品の制服を来て鏡の前でポーズをとっている。
「似合ってるよ。桜」
「ありがとう涼サマ」
「なんちゃって。キャーーー!!!」
どうやら彼女は、自分と涼サマという人の一人二役を演じているらしい。
その子は私に気づかず、緩いウェーブのかかった腰まで伸びた茶髪を豪快に振り回して悶えている。
「えっと、初めまして。ルームメイトの安倍理緒です。よろしくね」
私が部屋にいることに気づいていない様子の彼女は、至近距離から聞こえる私の声に肩をビクっとさせて振り返る。
「どこから見てた?」
彼女は恐る恐る私に尋ねる。
「『似合ってるよ。桜』ってとこから」
「いやーーーっ」
彼女は透き通るような真っ白な顔を真っ赤にして恥ずかしそうに叫ぶ。
暫くして落ち着いたのか、彼女は俯き加減で口を開く。
「初めまして。本城桜です。恥ずかしいところ見られちゃった」
彼女はテヘペロと舌を出す。
涼サマは彼女が10年間思い続けてる初恋の人で、生徒会長兼茶道部の部長だそうだ。
この学園では王子と人気を二分していて、ファンからはプリンスと呼ばれているらしい。
「涼サマのどこが好きなの?」
私が質問すると、待ってましたと言わんばかりの勢いで喋り始める。
「ーーーーーーで、もう本当に完璧なの!」
好きな人の話をすると止まらなくなるタイプのようで、彼の好きなところについてかれこれ1時間は喋り続けている。
私はその間に荷物整理を終え、ピンクの紙袋に入れた王子へのお礼の手紙とラッピング済みのフェイスタオルを学校指定の鞄の横に置く。
「その袋何?」
「これはねーーー」
王子との出来事を彼女に話した。
「素敵ですわ〜」
彼女はウットリした顔で私の話を聞いている。
「それで、明日告白するの?」
「いやいやいや、お礼するだけだよ」
そもそも、この気持ちが恋かどうかすらわからない。
「あら、そうですの」
残念そうに彼女が言う。
「王子のことで聞きたいことがあったら何でもおっしゃってください」
この学園には幼稚舎から大学まであって、幼稚舎から通っている生粋のボンボン組と私のような途中入学の一般組に分かれる。
理事長の息子である王子はもちろん、桜と涼サマも幼稚舎からこの学園に通っているらしい。
なので、学年が違っても王子のことはそこら辺の女子よりも詳しいという。
ふと時計を見ると9時をまわっていたので、順番にお風呂に入り、明日着る制服を用意して眠りについた。
寮は学園の正門を出て右が男子寮、左が女子寮で、どちらも学園から見える距離にある。
歩いても15分あれば着きそうな距離だが、登下校時刻になると30分おきに送迎バスが出るらしい。
部屋に荷物を運び込む為、入学式前日が入寮日になっている。
「忘れ物ない?ちゃんとご飯食べるのよ」
私のことをいつも心配してくれる母。
「いつでも帰ってきていいからな」
今にも泣きそうなお父さん。
「じゃあな」
ドライな弟。
「行って来るね」
最寄りの駅まで車で送ってくれた家族に別れを告げ、学園からの送迎バスに乗り込む。
寮のエントランスで鍵を受け取り、キャリーバッグを持って部屋へ向かう。
もらった鍵には302と書かれていた。
「えっと、302号室は、、、ここだ」
部屋の中に入ると相部屋の相手が先に着いていた。
新品の制服を来て鏡の前でポーズをとっている。
「似合ってるよ。桜」
「ありがとう涼サマ」
「なんちゃって。キャーーー!!!」
どうやら彼女は、自分と涼サマという人の一人二役を演じているらしい。
その子は私に気づかず、緩いウェーブのかかった腰まで伸びた茶髪を豪快に振り回して悶えている。
「えっと、初めまして。ルームメイトの安倍理緒です。よろしくね」
私が部屋にいることに気づいていない様子の彼女は、至近距離から聞こえる私の声に肩をビクっとさせて振り返る。
「どこから見てた?」
彼女は恐る恐る私に尋ねる。
「『似合ってるよ。桜』ってとこから」
「いやーーーっ」
彼女は透き通るような真っ白な顔を真っ赤にして恥ずかしそうに叫ぶ。
暫くして落ち着いたのか、彼女は俯き加減で口を開く。
「初めまして。本城桜です。恥ずかしいところ見られちゃった」
彼女はテヘペロと舌を出す。
涼サマは彼女が10年間思い続けてる初恋の人で、生徒会長兼茶道部の部長だそうだ。
この学園では王子と人気を二分していて、ファンからはプリンスと呼ばれているらしい。
「涼サマのどこが好きなの?」
私が質問すると、待ってましたと言わんばかりの勢いで喋り始める。
「ーーーーーーで、もう本当に完璧なの!」
好きな人の話をすると止まらなくなるタイプのようで、彼の好きなところについてかれこれ1時間は喋り続けている。
私はその間に荷物整理を終え、ピンクの紙袋に入れた王子へのお礼の手紙とラッピング済みのフェイスタオルを学校指定の鞄の横に置く。
「その袋何?」
「これはねーーー」
王子との出来事を彼女に話した。
「素敵ですわ〜」
彼女はウットリした顔で私の話を聞いている。
「それで、明日告白するの?」
「いやいやいや、お礼するだけだよ」
そもそも、この気持ちが恋かどうかすらわからない。
「あら、そうですの」
残念そうに彼女が言う。
「王子のことで聞きたいことがあったら何でもおっしゃってください」
この学園には幼稚舎から大学まであって、幼稚舎から通っている生粋のボンボン組と私のような途中入学の一般組に分かれる。
理事長の息子である王子はもちろん、桜と涼サマも幼稚舎からこの学園に通っているらしい。
なので、学年が違っても王子のことはそこら辺の女子よりも詳しいという。
ふと時計を見ると9時をまわっていたので、順番にお風呂に入り、明日着る制服を用意して眠りについた。