DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


おれはあたりの様子をうかがった。



地下の駐車場だ。襄陽学園の地下にあるやつだろう。


明かりはまだ生きている。


さすが、有事の際のシェルターを兼ねてるだけある。



ここまで来たら、脱出する方法がわかる。


おれは息を整えながら歩き出した。



疲労が背中に圧し掛かってくる。


今、何時だろ?


もしかしたら腹が減ってておかしくない時間なんじゃないかと思うけど、胃の底は相変わらずゾワゾワして、ときどき吐き気の波が来る。


額の胞珠も痛む。



休みたい、かもしれない。


とりあえず、外の空気が吸いたい。



車がちらほら止まっている。


ぶっとい柱にスプレーの落書きがある。


足音を響かせながら、地面に書かれた「止まれ」の文字を踏んで、角を曲がる。


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