DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
その一言は、おれのなけなしの理性と情けを吹っ飛ばした。
【今さら何を抜かしてんだよ、テメーは!】
チカラの制御も吹っ飛んでいた。
思念による怒号。おれ自身の脳ミソまでぶっ壊れそうなほどの大音量。
痛い。熱い。血管が破裂しそうだ。
だからどうした?
やめるもんかよ。死んだってかまわねえ。
わからせてやる。
おれがどんだけテメーを憎んでんのか、その身を以て思い知らせてやる。
【そのナイフ、拾え。できんだろ? 拾えよ。さあ!】
チカラある血の者を従わせることは、限界の突破を意味する。
もしかしたら禁忌の違犯かもしれない。
だけど、生涯に一度きり。今だけでいい。
超えたい。
チカラがほしい。何もかも屈服させられるだけの膨大なチカラが。