DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


飛行機の通路はカーペットが敷かれていて、足音が立たなかった。


キャビンアテンダントのおねえさんとおにいさんに見送られてブリッジに渡ると、姉貴のハイヒールがカツンカツンと高く鳴った。


その音、すげーいいと思う。



おれの目の高さに、姉貴の頭のてっぺんがある。


おれと同じ朱い髪。


染めてんのかってよく訊かれるけど、生まれつきだ。



朱《あか》、という色に、切っても切れない縁がある。


朱獣珠を預かるべき血筋に生まれて、おれが当代の預かり手。


ほしくて得たわけじゃないけど、それなりに強いチカラと、朱い髪と朱い目がおれに備わっている。



血縁的にいちばん近い姉貴も、朱だ。


髪の色と目の色。


人並外れて第六感が鋭いところも血筋のせいかもしれない。


いや、単に姉貴が個人的にすごすぎるだけかもしれないけど。あ、その説も濃厚だゎ。


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