DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「おれも手伝ったがいい?」
「手伝わなくて大丈夫よ。学校あるでしょ。それに、あんたには、やるべきことがあるんでしょ。わたしが手伝うことのできない役割が」
「やりたくねー」
おれが投げやりにそう言うと、姉貴は呆れたようにちょっと笑って、そして眉をひそめた。
「協力できるところは協力する。だって、問題の半分は身内の事情なんだもの。他人を巻き込むのが心苦しいくらいよ。本当はわたしひとりでやっちゃいたい」
やめてくれよ。
こないだ姉貴がヤバい目に遭いかけたときだって、足首を捻挫して立てなかったってだけで、おれ、食うも眠るもできないくらいメンタルやられたんだぞ。
ほんとに、心配だったし怖かったしムカついたし泣きそうだったし。
でも、姉貴にそんなこと言ったって、じっとしてやしねぇんだろうな。
「おれらふたりじゃどうにもできないから帰ってきたってとこ、あるじゃん?」
「わかってる」
「そーっすか」